初日は夜通し走っていたので、景色はひたすらに真っ暗。
時折町中に差し掛かると街灯のオレンジ色の光で建物や教会がわずかに見える程度。
それ以外に見えるのはランドヌールの後ろ姿のみ。
少しずつ強くなっていく眠気に気をつけながら朝日を待ちます。
無言でペダルを回す
スタートから200kmを超え、時間は午前5時近く。
「夜明け前がいちばん暗い」とはよく言ったものです。
周囲のランドヌールも眠気と疲労のせいか、走行スピードが目に見えて鈍っていた。
会話をしている人も少なく、誰もが淡々とペダルを回している、そんな時間帯。
PBPではこの時間帯がいちばん辛かったのを記憶しています。
この日は初日の夜でしたらからまだ大丈夫ですが、2日め、3日めは本当に眠気が厳しくなります。
その様子はまた後日ブログにまとめます。
あの眠気を僕の文章力が表現できると良いのですが。
初日の夜の寒さ
個人的にはこの日の夜は寒いとは感じませんでした。
ライドするのにちょうど良いくらいの気温。
朝日到来
午前6時、うっすらと空が赤みを帯びてくる。
GoProを見返すと僕のテンションが上がっていました。
人間、暗くなったら眠くなり、明るくなったら目が冴える。
明るくなれば景色も見渡せるようになり、脳に与える刺激も増える。
楽しさを感じているうちは眠くならない。
経験上、朝が来れば眠気はおさまることを知っていたので、辛い時間の終わりを感じていました。
スペシャルバイクと遭遇
Fグループのバイクたちとすれ違うようになってきました。
ベロモービル
これがPBPで初めてベロモービルとすれ違った瞬間かは覚えていませんが、GoProが記録している動画としては初めてでした。
空力を最重要視したかと言わんばかりのフォルム。
乗り手が風に触れなさそうなので気温の低い日は寒くなさそうで羨ましい。
でも暑い日は地獄だろうな。
隣を通り過ぎる時の「ゴロゴロゴロゴロ…」というペダリング音がなんとも独特。
ベロモービル、登りは遅いんですが、下りと平坦はまさにミサイルのような速度で走っていくので、この後ベロモービル勢との抜きつ抜かれつの旅路が始まります。
リカンベント
暗いうちにすれ違うとリカンベントもベロモービル同様にテールライトが多めに点灯しているので、どっちがどっちだかわからぬ…
こちらのほうが車体が軽量なので登りは楽そう、かな。
どちらも車高が低いのもあって、視認性について工夫しているようだった。
テールライトを多く積むだけでなく、国旗を立てるなどしていたり。
茂みに仁王立ちするメンズ
綺麗事だけではないPBPの一面。
フランスはトイレの数が少ないし、公衆トイレはそれと分かるように作られていないので非常に見つけづらい。
教会の近くにあったりもするけど、探すのに時間がかかる。
もちろんPCにトイレはあるけど、混んでいて時間がかかるし、清掃が追いつかないから匂いもなかなかスゴい。
あと小便器の高さがユニバーサルデザインじゃないんよ、高すぎるのよ。
アッパーカットを打つみたいな姿勢で用を足すのは辛い。
すべてのPCで用を足したとしても、PC間の距離は100km前後あるので必ず道中で催してくる。
そこでどうするか?
野ションなわけです。
僕もしました。過去最高に野ションをした86時間でした。
野ションをするために停車しやすい場所と本能で感じるポイントは参加者全員だいたい似通っているのか、だいたい先客がすでにマーキング済みだったりするのが面白い。
僕は今回のPBPで一度も屋外で眠らなかったのだけど、理由はこれ。
一度だけ路上で寝ようかと思った瞬間があったけど、おしっこの香りに「ウッ!」となって次のPCの仮眠所まで走り抜けた。
なにせ7000人近いランドヌールが野ションしますからね、マーキングエリアの広さはそれはもう凄いもんです。
これだけ野ションされるのにフランスの人々はよく許してくれるなと思いながら走ってました。
こなれた野ションスタイル
手慣れたロードバイク乗りは野ションも上手でした。
トップチューブに横すわりになり、腰でバイクを支えながら用を足す。
これならバイクを立てかける柱や柵などを見つけることなく、どこでも臨機応変に野ションが可能…!
ただし、バランスを崩して後ろに転倒しようものなら大変な悲劇が待っている気がします。
奥義・野ウン
深くは語るまい。2回見かけました。
上半身裸でビブパンツをずり下げたほぼ全裸状態。
もっと人目がつかないエリアまで車道から離れてやってほしい。
拭いているところをバッチリ見てしまったよ…
僕はというと…
ホテルとレストラン、そしてスーパーマーケットのトイレで合計3回いたしました。
どれも清潔だったし、競合相手がいなかったので落ち着いて処すことができた。
ウォシュレットは当然ないので、やはりおしり拭きは持っているとすっきり拭き上げることができて便利。
欧米系の参加者でも持っている人がいた。
トイレによってはペーパーがなかったりすることもあるようですし、お尻の衛生環境はライドにも影響するのでなるべく清潔に保ちたいもの。
日本でおしり拭きを買ってきてはいるが、これでも代わりになる
— Moto@BRM916群馬1000 (@norabalwks) August 18, 2023
2ユーロ
使用感は思いのほか良かった
なんなら便座も掃除できる pic.twitter.com/yi7H4OFmdG
場所によっては私設エイドに仮眠所がついていることも
こちらはカフェの方が運営していたちょい大きめの私設エイド。
ログを振り返ると30分くらい休んでいた。
スープやコーヒーなどが有料(とはいってもPBP価格で通常時よりお安い価格設定だと思う)で手に入れることができた。
なお、フランスではコーヒーを注文するとエスプレッソがきます。
そのほかのコーヒーよりも安めに設定されている。
カフェのトイレが使いたい場合はコーヒーだけ頼んで使わせてもらうのが良いかと。
驚いたのは仮眠もできるベッドがあったこと。
PCの仮眠所までもたない、でも外で寝たくないという人はこういう場所で休息を取るのがいいですね。
私設エイドでベッドまで用意されているところは少ないので貴重な休憩スポット。
少々うるさいでしょうけど、疲れているからすぐ眠りに落ちると思いますし、ちゃんとした寝床で寝ると疲労の回復が違います。
PBPは基本的に牧場沿いを走る
町か牧場か、どちらかを走っていることがほとんど。
比率としては町が1で牧場が9ってとこでしょうか。
明け方には固まって寝ている牛たちを見ることができます。
3人程度のグループ走行がメインに
スタートから250kmほど進んだこのあたりの地点になってくると、10人規模の大型トレインはほぼ見かけなくなった。
自然発生している3人規模のトレインに参加したり、前を引いてみたいする。
前に出てしまうと僕のスピードが噛み合わずにそのままトレインを千切ってしまうことも多々あり、気がつけばボッチ走行になっていることも多かった。
ボッチ走行時は意識的にペースを落としたり、ストレッチをしたりして進みつつ、勢いのあるトレインがきた時にキャッチできるよう脚を溜めた。
PC2「Fougères」に到着
PCのコントロールは混んでいそうだなと思っていたので、少し手前にあったカフェで朝食を済ませておいた。30分くらい休憩。
2回めの参加だというイギリス人ランドナーと話しながら食す。
PCの食事を避けて地元のレストランで飯食うと時間節約になると教えてくれた。
注文時にフランス語話していたのでフランス人かと思ったら、過去にフランスで駐在経験のあるためとのこと。
いろんな国に移り住みながらサイクリングしてる人生っぽい。いいねぇ!
午前10時頃、画像右手のおっちゃんの拍手に迎えられつつ到着。
僕は応援されると必ず手を振り返すタイプです。
疲れていても声援を受けると元気になる。
PCはだいたい丘の上にあるので最後はダンシングを織り交ぜてゴリゴリ登っていく。
なぜかPCに向かう最後の坂はヒルクライムレースばりに全力で駆け上がっていく人が多い。
「CONTROLE」と書かれた場所でブルベカードにスタンプをもらうルールとなっている。
場所はPC内に案内標識がたくさん貼ってあるので迷うことはない。
コントロールの中ではおっちゃんおばちゃんが多数待機していて、それほど待つことなくスタンプがもらえた。
PC内はWPとは異なり全員スタンプをもらうためにバイクを下車するスポット。
そのためレストランや売店各種の施設は混み合っているため、僕はスタンプをもらったらさっさと出発していた。
各国の大きな国旗がぶら下がっているレストランの天井。
そこそこ混み合っていた。
倒れ込んで寝る人々
そこかしこでランドヌールがぶっ倒れている。
PBPはほとんどの人が夕方スタート。
そしてこの地点で約300km走ってきたことになる。
皆そろそろ疲労と睡魔が来ている様子。
僕は太陽が出ている時間は眠くならない体質なので、このときはまだ元気。
取材を受けるランドヌールも
地元のテレビ局だろうか。
PCにはよく撮影スタッフがいてインタビューを受けているランドヌールもいた。
「Fougères」の滞在時間は10分程度
前述のカフェで食事とトイレは済ませてあるから、ここではスタンプと水だけ補給してささっとリスタートできた。
走行計画で予定している仮眠所は200km先、まだまだゼロ仮眠で走る
次回はPC3「Tinténiac」とPC4「LOUDÉAC」を抜けた先のWPである「Saint-Nicolas-Du-Pele」までを書きます。
疲労はにじみ出てきたものの、晴天の中走るフランスの田舎道は綺麗で楽しかったですよー!