痛み出す右膝
膝が痛い。
通過チェック4のファミリーマート千曲上山田店(234km地点)を通り過ぎたあたりから、右膝に痛みが出始めていた。
遅れを取り戻そうとしてややオーバーペースで走っていたことと、今回のブルベ前にメルカリで購入して取り付けた「Scoop Ultimate Flat」のため、サドル高が以前と変わって高くなっていたためだと思う。
脚をピンと張り気味にペダリングしていたため、気がつけば膝裏を痛めていた。
痛みがあると体力が残っていても出力を上げることができない。
徐々にノグさんのペースについていくのが難しくなってきた。
ノグさんに先に行ってもらう
ノグさんが予約をとっていた宿は自分が仮眠を取る予定の信州健康ランドよりさらに先に20kmほどの場所にある。
「このままだと足引っ張っちゃうので、ノグさんのペースで先に行っちゃってください!」
と、声をかけて緩やかに離脱。
お互いの健闘を祈って300km地点で解散しました。
癒やしの仮眠所、信州健康ランド
そこからさらに痛む右膝をかばうように左足で強めにペダリングをしながら信州健康ランドに到着。
時刻は午前2時くらいだっただろうか。
24時間営業の健康ランドはチェックイン時刻の制限がないのがありがたい。
ゴールまでは残り280km。
この痛み具合だとゴールは厳しいかもしれない。
正直やや気弱になってきていた。
ざっくりゴールまでの距離と残り時間を逆算。
信州健康ランドに滞在できる時間はせいぜい3時間といったところ。
の短時間でどれだけ体力を回復して、痛みを和らげることができるか。これが勝負だ。
実は信州健康ランドはこのブルベの1ヶ月前、乗鞍岳にふらりとヒルクライムしに来たときに3泊ほどしている。施設内のどこに何があるかは完全に把握していた。
iphoneにインストール済みの信州健康ランドのアプリで会員証を見せて500円のディスカウントを受ける。
タオルと館内着を受け取ったら大浴場に向かう。
サイクルジャージを脱いだらすぐに風呂に入りたいところだが、その気持ちはグッと抑えて館内着を着て3Fに向かう。
3Fには洗濯機が用意されているので、そこにサイクルジャージを突っ込み洗濯開始。
右膝を引きずりながら大浴場に戻る。
この日の風呂の気持ち良さといったらない。
最高である。
洗濯機が止まるまでの約40分間、浴槽で延々と膝の筋肉を揉みほぐした。
永遠に寝湯で寝っ転がっていたい誘惑にかられる…
風呂から上がると右足がだいぶ軽くなっていた。
やはり風呂。風呂はすべてを解決する。
洗濯機から回収したサイクルジャージはロッカーの中にぶら下げる。
その後は仮眠スペースに移動し、サイコンやライト、iphoneの充電を行いながら1時間ほど横になった。
しかし眠れない。
体がサイクリングモードになっていて寝付けないのだ。
また、眠気覚ましに飲んでいたコーヒーのカフェインが効いてしまっている。
それでも横になって目をつぶるだけでも回復するはずだと信じて休息。
1時間後。
ようやく眠気がやってきたかというタイミングで、iphoneが振動して起床時間を告げてくる。
行かねば…
無理やり体を起こして半乾きのサイクルジャージに着替え、チェックアウト。
3時間の滞在で入館料と深夜料金を支払う。
当然割高だけど、他に休息できる場所はないし、回復の効率としては通常のビジネスホテルより遥かに高かったので惜しくない。
朝5時の塩尻市の朝は寒かった。
震えながらサドルバッグを取り付けて出発。
重すぎるペダル
ビックリした。
いくら疲労しているとはいえ、こんなにもペダルが重いのは異常だ。
ゴッソリと体力が奪い取られていくのがわかる。
膝が痛いというのにこれでは…と愕然とする。
しばらく走った後でようやく「これはチェーンルブが切れているのでは?」と思った。
疲労と眠気で頭が回っていなかったようだ。
多くのランドヌールはウェットルブを使うと思うのだけど、自分は軽快な走行感が好みでドライルブを愛用している。
使っているのはKUREの自転車専用チェーンルブドライだ。
仮眠前にも当然ルブが切れていたはずだが、ルブ切れは突然起こるわけではなく徐々に回転抵抗が増していくため、疲労で鈍感になっていた自分は気づかないまま走っていたことになる。
いやはやエネルギーの無駄遣いをしてしまった。
自分は醤油差しのような小さなボトルにルブを小分けにしてツール缶に入れて持ち運んでいる。
これ一つでだいたい2回は注油が可能だ。
注油の仕方も大雑把で、軽くチェーンを何らかの紙か布で拭き取った後は、ペダルを逆回転させながらボトルの中身をチェーンに振りかけるだけ。
30秒もあれば終わる作業だ。
注油後の拭き取りは行わない。
ルブが汚れを吸着しても、ドライルブなので拭き取れば簡単に落ちるし、経験上拭き取りを行うとルブの持ちが短くなる気がしている。
ワークマンで買った薄手の作業用軍手のおかげで手も汚れない。
(この軍手は極寒の日にはインナーグローブとして防寒用にも使える)
今後のブルベでは200kmごとの注油を忘れないように気をつけることにしよう。
注油の効果は劇的で、走行再開して5分ほどしたらルブがチェーンに浸透しきったのか、抵抗がなくなってペダルが軽快に回るようになった。
これならまだ行けるかもしれない。
もうちょっと頑張ってみよう。
通過チェック6 セブン-イレブン 伊那中央店に到着(356km地点)
6つ目のPCに到着。
信州健康ランドからここまでの道は比較的市街地的なルートで、緩やかな登りがわずかにある程度だった。
ノグさんはこのあたりに宿を取るということだったが、まだすれ違っていない。
きっと先に進んでいることだろう。
ざっくりと暗算で残り距離を制限時間内にゴールすることを考えると、グロス平均17kmで走る必要がある。
ここまでのグロス平均は14km。
膝は痛いわ、胸焼けはするわ、眠気はするわの体調の中で、これまでよりもさらに速いペースで進まないといけないわけだ。
「ゴールは厳しいか…」
という思いがますます強くなっていった。
が、心のどこかで「けどこの状況下でゴールできたら、凄くないか自分」という思いもあった。
モンスターの力を借りるぜ pic.twitter.com/0KbMYQ7BBc
— Moto@BRM1210埼玉300kmアタック那珂川 (@norabalwks) September 4, 2022
エナジードリンクを投入して頑張る。